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名古屋家庭裁判所岡崎支部 昭和53年(少イ)5号 決定

被告人 町田勝弘

主文

被告人を懲役九月に処する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は

第一  昭和五二年一〇月一五日頃、名古屋市中区○○×丁目×番×号所在の○○○ハイツ××号の自室において、中学三年生のA及びBに対し、自己を相手方として性交する女子中学生を誘い連れてくるよう申し向け、よつて同人らをして、翌一六日頃、同級生のC子(当時一五年)を勧誘させて自己に紹介せしめ、同日午前二時三〇分頃、同所において、自己が右C子と性交し、もつて児童に淫行をさせる行為を教唆した

第二  同年一二月二九日頃、愛知県一宮市○○町○○字○○××番地所在のホテル○○○において、前記A及びBに電話をかけ、同人らに対し、自己を相手方として性交する女子中学生を誘い出してくるよう申し向け、よつて右同人らをして、同級生のD子(当時一四年)を勧誘させて自己に紹介せしめ、同日午後九時頃、同所において、自己が右D子と性交し、もつて児童に淫行をさせる行為を教唆した

第三  同五三年一月一日、前記○○○ハイツの自室において、前記A、B及びEに対し、自己を相手方として性交する女子中学生を誘い出してくるよう申し向け、よつて右同人らをして、女子中学生のF子(当時一三年)を勧誘させて自己に紹介せしめ、同日午後三時三〇分頃、同所において、自己が右F子と性交し、もつて児童に淫行をさせる行為を教唆した

第四  同月六日頃、名古屋市中区○○所在の○○ホテルにおいて、前記A及びBに対し、自己を相手方として性交する女子中学生を誘い出してくるよう申し向け、よつて右同人らをして、女子中学生のG子(当時一五年)を勧誘させて自己に紹介せしめ、翌七日午後一時頃、同所において、自己が右G子と性交し、もつて児童に淫行を教唆した

ものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実について

一  被告人の当公判廷における供述

判示第一の事実について

一  被告人の検察官(昭和五三年七月二〇日付丁数七枚のもの)及び司法警察員(昭和五三年四月一九日付丁数一六枚のもの)に対する各供述調書

一  Bの検察官に対する供述調書(但し、「私が、町田勝弘さんに言われて」で始まるもの)

一  Bの司法警察員に対する昭和五三年二月二五日付供述調書謄本

一  Aの司法警察員に対する昭和五三年三月六日付供述調書謄本(但し、丁数一六枚のもの)

一  C子の検察官及び司法警察員に対する各供述調書

一  名古屋市千種区長作成の身上調査照会回答書

判示第二の事実について

一  被告人の検察官(昭和五三年七月二〇日付丁数五枚のもの)及び司法警察員(昭和五三年五月六日付)に対する各供述調書

一  Bの司法警察員(昭和五三年三月二三日付丁数一八枚のもの、同月二八日付、同年四月六日付)に対する各供述調書謄本

一  Aの司法警察員に対する昭和五三年四月二四日付供述調書謄本

一  D子の検察官及び司法警察員に対する各供述調書

一  新潟市長作成の身上調査照会回答書

判示第三の事実について

一  被告人の検察官(昭和五三年八月一二日付)及び司法警察員(昭和五三年五月一一日付丁数一〇枚のもの)に対する各供述調書

一  Bの司法警察員に対する昭和五三年三月二四日付供述調書謄本(但し、丁数一二枚のもの)

一  Aの司法警察員に対する昭和五三年四月二五日付供述調書謄本(但し、丁数一〇枚のもの)

一  F子の検察官及び司法警察員に対する各供述調書

一  名古屋市南区長作成の身上調査照会回答書

判示第四の事実について

一  被告人の検察官(昭和五三年八月一二日付)及び司法警察員(昭和五三年五月一一日付丁数六枚のもの)に対する各供述調書

一  Bの検察官に対する供述調書(但し、「私が、A君といつしよになつて」で始まるもの)

一  Bの司法警察員に対する昭和五三年三月二三日付(丁数九枚のもの)及び同月二四日付(丁数八枚のもの)各供述調書謄本

一  Aの司法警察員に対する昭和五三年四月二五日付供述調書謄本(但し、丁数一一枚のもの)

一  G子の検察官及び司法警察員に対する各供述調書

一  名古屋市中川区長作成の身上調査照会回答書

(累犯前科)

被告人は、(一)昭和四五年七月三日名古屋地方裁判所で恐喝、横領、詐欺、暴力行為等処罰ニ関スル法律違反、賭博開張等図利の各罪により懲役三年六月に処せられ、昭和四九年一月二日右刑の執行を受け終り、(二)その後犯した傷害罪により昭和四九年九月一〇日名古屋地方裁判所で懲役八月に処せられ(控訴、上告により判決確定は昭和五〇年四月一日)、昭和五〇年一一月一二日右刑の執行を受け終つたものであつて、右事実は検察事務官作成の前科調書(丙)、検察事務官作成の被告人の供述調書の抄本によつてこれを認める。

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも児童福祉法三四条一項六号、六〇条一項、刑法六一条一項に該当するところ、各罪についていずれも所定刑中懲役刑を選択し、右各罪は前記前科との関係で三犯であるから、いずれも刑法五九条、五六条一項、五七条により三犯の加重をし、以上は同法四五条前段の併合罪なので、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に同法一四条の制限内で法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役九月に処することとする。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 市瀬健人)

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